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2018.04.16 Monday

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    2012年私的映画ベスト3〜『Playback』に関して

    2013.02.03 Sunday

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       既に2月6日になってしまった。
      突然だが、2013年1月5日時点でのベスト3を以下に挙げる。

      第1位
      『ニーチェの馬』(監督:タル・ベーラ)
      ハンガリーの巨匠、タル・ベーラ監督による、本人曰く最後の作品。
      圧巻の長回しと、静謐さで世界の終わりの風景を描いた、無駄を全てそぎ落とした大傑作。スクリーンに映っている場所はどこなのか、人物達は誰なのか、映画を観終わった所で理解できることなど一つも無かった。退屈な作品とは切って落とすことはできない。他のどんな表現でもあり得ない、映画にしかできない異常な体験。ただただ、強く心に残った。

      第2位
      『次の朝は他人』(監督:ホン・サンス)
      韓国の天才、ホン・サンス。ようやく彼の作品を年末の特集上映で観ることが出来た。噂に違わぬ天才っぷり。スクリーンで展開されていることは一体何が本当のことなのか、そもそもフィクションで本当のこととそうでないことの違いなどあるのか。非常に僕好みのモヤモヤとした作品。

      第3位
      『カルロス』(監督:オリヴィエ・アサイヤス)
      仏の天才、オリヴィエ・アサイヤス。6時間近い大作。3部に分けられ、3週間通って鑑賞。まともな映画監督が、潤沢な資金を得て、まともな作品を作った。しかも、控えめに作家性を維持している。退屈な場面など一つも非常にスリリングで面白かった。ヨーロッパ、アフリカ、中東と日本人にとって非常に馴染みにくい題材ではあるが世界史好きとしては大満足。


      と、ここまでが2013年1月5日までのランキング。翌日、1月6日にオーディトリウム渋谷に行って、ある作品を観てランキングに変動があった。というわけで、ランキングは以下のようになる。

      第一位
      『Playback』(監督:三宅唱)
      以下、ランキングは一段ずつ下がる。

      驚愕。
      鑑賞中、まるでゴダール、トリュフォー、小津、成瀬、ドライヤー・・何でもいい、とにかくそういった映画の巨匠達の作品を観ているのかと思ってしまった。
      よくよく考えると、一体どういうことだったんだと、一回観ただけではわからない部分もたくさんあったのだが、そういったことが映画の評価とは全く関係無い所も先に挙げた巨匠達と全く同じである。

      表現が難しいのだが、この映画にはファーストショットからラストショットまで、悲しみの「予感」が漂っていた。悲しみが直接的には描かれていない。ただ、「予感」が漂っている。映画の神に選ばれた者の作品だけが、この「予感」を獲得することができる。

      三宅唱監督は、まだ28歳である。願わくば、毎年1本コンスタントに作品を撮り続ける環境があればと思う。こういう作品を撮る作家にとって、日本映画界の現状は決して甘くは無いと思うが、ただそのことを願うばかりである。
      10年以内にカンヌのパルムドールを獲得することは間違い無い。

      他の日本映画とは品格と志の高さが違いすぎる美しい映画。2013年も様々な地方での上映があるみたいだし、東京に戻って来たらまた観に行きたい。
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