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    ジャン・リュック・ゴダール最新作『さらば、愛の言葉よ』に関して

    2015.03.02 Monday

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      ジャン・リュック・ゴダール最新作「さらば、愛の言葉よ」の2回目の鑑賞を終えたタイミングで感想を記しておきたいと思い筆(キーボードだが)をとることにした。

      映画の感想(評論とは言えない)は難しい。ただ粗筋を書くだけなら意味が無いし、かといってこのショットがうんたらかんたらとか言っても、映画製作の仕事をしているわけでも無い者にとってはどうでも良いことのように思える。
      結局の所、「超面白い」「寝た」「何も無い」「神」「二階堂ふみが若き日の宮崎あおいみたいで可愛い」とかそのくらいのバリエーションしか映画の感想を語る言葉は無いと思うのだ。

      そのくらい困難である映画の感想であるのに加えて、ゴダールの感想である。素人の私が何を語れるというのか。

      しかし、ゴダール初の3D作品となった本作は前述した感想のバリエーションとは全く異なる次元で感覚を揺さぶる体験であったのだ。

      散々語られていることだが、本作での3Dは通常の商業作品の3Dではタブーとされていることをやってしまっているらしく、画面に何が映っているのかすら判別できない映像が満載である。コンタクトレンズの違和感、頭痛、そしてゴダール作品鑑賞時にはお馴染みの強烈な睡魔がジェットコースターのように襲ってくる。1回の鑑賞では全く何も理解することができず、2回目の鑑賞時も理解度という点では何も進歩することは無かったのだが、自分にとって本作がどのような意味合いの持つ忘れがたい作品となったのかがようやく整理できつつある感触を得ることができた。

      前作「ソシアリズム」までは、よくわからないし睡魔に襲われるという点では同じであるが、必ず目の覚めるような美しく印象的なシーンが散りばめられており、それはゴダール作品でしか味わえないような快楽でもあった。しかし、本作においてはそういった快楽的なシーンはほとんど無かったと感じる。全く無かったとは言えないのだが、具体的にどのシーンであったと思い出せるようなものでは無く、映画が終わった瞬間に全て記憶から消えてしまうような感覚すら覚える(安易に記憶に刻まれない、「忘却」という点はゴダール映画の大きな特徴だとは思うのだが)

      私が若かりし日、ゴダール映画に傾倒した時期というのはどこか格好付けたい気持ちが無かったわけでも無い。文学、哲学、美術、歴史からの膨大な引用は、教養の無い私にとって全く理解などできる類のものでは無いのだが、そのわからなさ、90分の苦痛をマゾヒスティックに楽しんでいた感がある。しかし、年齢を重ねた私もとうの昔にそのような「青の時代」が終わっている。それでもなお本作のようなゴダール映画に魂を揺さぶられるのは何故なのだろうか。

      理由を簡潔に述べるならばただ一つ、「さらば、愛の言葉よ」は今までのゴダール映画とは全く違う次元の体験があったからに他ならない。

      私は今まで通り強烈な睡魔と戦いながらも、少しでもゴダールを理解したい、ワンショットも見逃したくないという欲望をもって本作に挑んだ。しかし、強烈な3D映像は私のそのような欲望、脳の制御を無視し、眼球が勝手に映像を「拒絶」しているという感覚を覚えた。それから、すぐに現れる「忘却される短くも美しい映像」を私の眼球は「受容」する。
      私の眼球は脳とは切り離され、ただただ「拒絶」と「受容」を目まぐるしく繰り返す。果たして、それは全く新しい体験であったのだ。

      映画館で映画を観るという行為は、不特定多数の他人を同じ映像を一定時間を共有するということに意味がある。
      同じ映像を観て、それぞれが少しづつ違う感触を感じる所に妙があると思うのだ。
      しかし、この本作の恐るべきところは、観客各々がもはや同じ場所に居ながら、同じ映像を観ていないという可能性すら秘めていることにあるのだと思う。3Dでしか観る方法がないという特性上、DVDが出るのかどうかすら怪しいので、映画館で決められた時間に不特定多数の他人を一緒に観る以外に選択肢は無い。
      だが、私は隣の席の人物と同じ映像を観ることができないのである。



      JUGEMテーマ:映画

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        12日のことですが、映画「さらば、愛の言葉よ」を鑑賞しました。 人妻と独身の男が出会い、愛を確かめ合い、その後言い争いをする 一方、町中や自然の中を犬がふらふらと歩いていた。季節は移り変わり、再会を果たした彼らだったが・・・ 引用しながらも、なんとなく
        • 笑う社会人の生活
        • 2015/04/24 11:44 PM
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